What is Nostr?
三宅 芳夫 /
npub1agt…qfrp
2024-12-10 03:19:06
in reply to nevent1q…5vfj

三宅 芳夫 on Nostr: ...

 リプシウス・プログラムで最重要な論点の一つは、「近代的規律」の導入です。

 リプシウスは「政治学」において、この「規律」を常備軍と結びつけ、これをマウリッツが実践、さらにこの規律訓練が世界中に伝播し、現代日本の初等教育にもその名残りがあることは先述しました。

 この近代軍隊用のための規律はフーコーが『監獄の誕生』で述べているように、近代監獄、資本主義体制下の工場労働、へと拡大していく。
 「監獄が工場、学校、兵営に似通い、こうしたすべてが監獄に似通っていても何も不思議はない」(日本語訳227頁)。

 リプシウスは常備軍は市民の徴兵が望ましいとしたが、マウリッツのオランダでは当時の慣行である傭兵に留まる。徴兵制を導入したのは、スウェーデンのグスタフ・アドルフ、そしてプロイセン。フーコーはマウリッツ、グスタフ・アドルフ、そしてナポレオンに至る軍の規律権力を追跡していく。

 ちなみに、この17,18世紀は「絶対主義」の時代ともされるが、「絶対主義」という概念は、後世のもの。当時は規律ないし「社会的規律」という言葉で新しい権力編成の生成が意識されていた。

 従ってフーコーの規律権力論は、ある意味当時の文脈・用語に立ち返ったものとも言える。
 ただし、フーコーはリプシウスに一言も言及していない。
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