三宅 芳夫 on Nostr: ...
しかし、日本でのモンテスキュー研究としては、1996年に上梓された川出良枝先生の『貴族の徳、商業の精神』をまず挙げなければならない。
スパルタカス先生より10歳年上の川出さんはこの時37歳。1950年代後半生の東大政治思想史研究者はずば抜けた「秀才」揃い、1970年代にはすでにアレントとポーコックは受容した上で研究を出発させている。
川出さんも、まさに「新進気鋭」の快刀乱麻の切れ味と先行研究のほぼ完璧のフォローを両輪として、自信満々に自らの見解を展開していく。
ただ、今回再読してやや「意外に」思ったのは、一見「反動的」に見えるブーランヴィリェの「アクチュアリティ」を取り出す所作、「封建的」な「主従関係」には「専制」の歯止めとなる、「恐怖」を克服する「名誉」の徳の協調、さらにそこからモンテスキューの精神的貴族主義に焦点を当てることなど、全てにおいて丸山眞男のヘーゲル的な論理展開の影響の痕跡が見受けられることだ。
また、16世紀末から17世紀にかけてのタキトゥス主義とリプシウスの関係を、二次文献に拠りながらであれ注目し、さらにモンテスキューの引用するタキトゥスがリプシウスの編集した版であることへの言及があることはさすがである。
とは言え、2025年現在から見た疑問点もある。
スパルタカス先生より10歳年上の川出さんはこの時37歳。1950年代後半生の東大政治思想史研究者はずば抜けた「秀才」揃い、1970年代にはすでにアレントとポーコックは受容した上で研究を出発させている。
川出さんも、まさに「新進気鋭」の快刀乱麻の切れ味と先行研究のほぼ完璧のフォローを両輪として、自信満々に自らの見解を展開していく。
ただ、今回再読してやや「意外に」思ったのは、一見「反動的」に見えるブーランヴィリェの「アクチュアリティ」を取り出す所作、「封建的」な「主従関係」には「専制」の歯止めとなる、「恐怖」を克服する「名誉」の徳の協調、さらにそこからモンテスキューの精神的貴族主義に焦点を当てることなど、全てにおいて丸山眞男のヘーゲル的な論理展開の影響の痕跡が見受けられることだ。
また、16世紀末から17世紀にかけてのタキトゥス主義とリプシウスの関係を、二次文献に拠りながらであれ注目し、さらにモンテスキューの引用するタキトゥスがリプシウスの編集した版であることへの言及があることはさすがである。
とは言え、2025年現在から見た疑問点もある。