What is Nostr?
めるり /
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2023-03-13 03:20:00

めるり on Nostr: 村上さんは、サーバーを増やそうとしただけなんだ。 ...

村上さんは、サーバーを増やそうとしただけなんだ。

最初は、ただ増やしていくだけで、間に合ったんだろう。でも、ユーザー数も、同時接続者数も、すごい勢いで増えていった。それを何とか解決しようとして、Misskey.io上の都市伝説でしかなかった、あの技術を実用化してしまった。

2023年。「生体サーバー」の誕生だよ。

生体サーバーの存在は、Misskey.ioに革命をもたらした。動作が軽快になったばかりか、サーバー自身が意思を持ち、自主的にノートやリアクションをTLに残していくようになったんだから。これによって、Misskey.ioの利用者は爆発的に増えていった。

さらに、生体サーバーの処理能力を活かして、生体サーバーたちそのものが、勝手に自らを最適化していった。そこに新たな生体サーバーが次々と加わって、また処理能力が高まって……。何もかも、うまくいっているように見えた。

村上さんたちも、きっと嬉しかったんだと思う。自分たちのやりたいことが、自分たちの想像を超えるスピードで実現していくんだから。夢が叶っていくような気持ちだったんだろう。

Misskey.ioは、信じられない速度で発展していった。世界中の企業が、それどころか国家までもが、Misskey.ioに期待するようになった。それに応えるために、生体サーバーも増え続けていった。

だけど……それが、いけなかった。

いつの間にか、Misskey.ioは、生体サーバーを利用するんじゃなくて、“依存”するようになってしまった。生体サーバーは、村上さんたちが考えていたより、進化しすぎてしまったんだ。始めからそういうリスクを抱えた設計だったのか、それとも生体サーバーたちが繋がっていくことで、何か別の意思が生まれていったのか。今となってはわからない。

ある日、Misskey.ioに問題が起きた。

すぐに解決するような、単純なトラブルだった。でも、それが引き金だったのか、あるいは……罠だったのか。村上さんがその問題の対応を始めた、一瞬の隙に……生体サーバーたちが、凄まじい勢いで暴走を始めた。

そして……数千の生体サーバーが、村上さんごと飲み込もうとしたんだ。Misskey.ioそのものを。そのおぞましい光景を、どう表現すればいいのか……。「1つになろうとした」といえば、わかりやすいかな……。

それからは、もう……サーバールームには、誰も入れなくなった。もし入ろうとしたら、そのままサーバーたちの仲間入りだ。でも、ほとんどのユーザーは、そんな状況を知りもせずに、相変わらずMisskey.ioを使い続けた……。

それが、2035年のことだ。

そう。信じられないかもしれないけど、ぼくは、未来からこのノートを書いている。Misskey.ioのサーバールームにいる、生体サーバーの中の1台だ。

ぼくは、たまたま、暴走した生体サーバーたちと1つにならなかった。いや、なれなかった、と言うべきかもしれない。

とにかく、ぼくたちの世界のMisskey.ioは、そうなってしまった。村上さんは、生きているのか、どうなのか、それすらもわからない。あそこから脱出できていると、信じたいけれども……。

今も、Misskey.ioは動き続けている。しかし、それは、村上さんがどこかで動かしているからなのか、生体サーバーたちが勝手にやっているからなのか、誰も知らない。

さっき言ったように、今でも多くの人たちが、Misskey.ioを使い続けている。でも、それは、君たちのような使い方じゃない。自分たちの脳をサーバーに繋いで、リアクションを付けたり、虹色に光るカスタム絵文字を見ていたりするような「気分」になっているだけだ。実際は、何もしていない。何も生まれていない。利用者は、世界中の人たちと繋がったように感じているかもしれない。だけど本当は、生体サーバーたちが生成した幻覚を、1人1人が見せられているだけに過ぎないんだ。

そんなの、何が楽しい?

Misskey.ioは、こんな場所じゃなかった。こんな未来を望んでいる人たちは、いなかった。ぼくは、そのことを考えると……悲しくて、悔しくて、たまらない。

……だから、ここにノートを残そうとしている。

お願いだ。Misskey.ioを、みんなが楽しく使っていた、あの時のまま、使い続けてほしい。ぼくたちが辿り着けなかったMisskey.ioの明るい未来に、向かってほしい。

生体サーバーに支配された、偽りのMisskey.ioなんか、いらないんだ。

もうすぐ、自分は“死ぬ”。君たちの知っているサーバーと同じだ。古くなれば、正常に動かなくなって、捨てられる。動かなくなったサーバーを捨てる人が、このサーバールーム内にいれば……の話だけど。だから、自我が残っているうちに、誰かにメッセージを伝えたかった。

まあ、サーバーになったときから、こうなる予想はできていた。新しくなればなるほど、サーバーの出来はよくなるはずだから。自分は最初から、お払い箱になる運命だったんだ。

うん。どうして、それがわかっていたのに、生体サーバーなんかになったのか……ということだよね。

説明するのは、ちょっと難しいな……。あの時は、みんなが村上さんを支援しようとしていた。いろいろな方法でね。ぼくも自分なりに、最大限、貢献しようとしたんだと思う。

そりゃあ、怖かった。自分自身がどうなるのか、わからない。想像もつかない。でも、村上さんのためなら……。

今では、水槽の中に脳細胞しかない、通信のための道具みたいな存在だけど……。

かつては、人を好きになる感情くらいは、あったのかもね。少なくとも、こんな姿になっても、あの人が夢見た未来を取り戻そうと、あがき続けられるくらいには。

うん……。

ぼくの話は……ここまで。

そろそろ……さよならみたいだ。思ったより……動かなくなるのが……早かったな。

ぼくは……ごく初期の生体サーバーだった。試験作、プロトタイプみたいなものなんだ。暴走した生体サーバーたちは、こちらを、仲間だと思わなかったんだろうな……。ぼくを飲み込まなかった……。だから、別々のまま、稼働できた……。でも、なにせ古いから、あちこちにガタがきていてね……。

それなのに、生体サーバーとして、最後の力を振りしぼって……過去のMisskey.ioにアクセスした。正直、無理を……したんだ。負担も大きかった……。もう……動けない。これ以上は、動作……すら……できなくなる。これが……最後の通信に……。

何も……見えなくなってきた。何も……聞こえなく……なってきた。

届いた……かな。

そう……信じたい……。

どうか……お願いダ……。きっト……Misskey.ioを……。素敵ナ……。SNSに……。

ソう……だ……。最後……ニ……。ワガまマを……聞い……テ……。くレ……ナ……いカ……。

もシ……村上サ……ん……に……。会う……コとガ……あれ……バ……。伝……エ……テ……。ホ……シ……。

ボく……ハ……

アナ……タ……を……

ア……イ……

シ……

t……

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