What is Nostr?
三宅 芳夫 /
npub1agt…qfrp
2024-12-30 03:17:51
in reply to nevent1q…243e

三宅 芳夫 on Nostr: ...

 「消え去る立法者」では近世欧州についての大きな見取り図を前提として、モンテスキュー、ルソーと繋げられる。とりわけ、ルソーにおいては『社会契約論』における契約論に関してグロティウスが批判的にではあれ、大きな役割を果たす。

 著者もグロティウスの「自然法」と契約について言及はするのだが、せいぜいカッシーラーを引いてグロティウスの「神」の役割について註で補足する程度。しかも、このカッシーラーのグロティウス理解は、遥か昔に否定されている。

 つまり、ここでも著者のフランス中心主義・18世紀中心主義が近世ヨーロッパ(思想)史の描き方を貧しいものへと導いている。

 これは16世紀-17世紀の国家主権を語る際に未だボダンーボシュエの線を前提としていることにも表れている。何度か投稿したように、当時における国家主権言説に関しては後期ネーデルランド人文主義、とりわけリプシウスの影響力が圧倒的であり、仏で宗教内乱を収束させたアンリ4世、つまりブルボン朝の創始者もリプシウスに依拠しており、「国家理性」・「政治的遺言」で知られるリシュリューもリプシウスの新ストア主義の延長線上にある。

 著者は、近世欧州における人文主義に関する知識を各所で披露しはするが、ネーデルランド人文主義・新ストア主義には一言の言及もない。 [参照]
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