三宅 芳夫 on Nostr: ...
「消え去る立法者」では近世欧州についての大きな見取り図を前提として、モンテスキュー、ルソーと繋げられる。とりわけ、ルソーにおいては『社会契約論』における契約論に関してグロティウスが批判的にではあれ、大きな役割を果たす。
著者もグロティウスの「自然法」と契約について言及はするのだが、せいぜいカッシーラーを引いてグロティウスの「神」の役割について註で補足する程度。しかも、このカッシーラーのグロティウス理解は、遥か昔に否定されている。
つまり、ここでも著者のフランス中心主義・18世紀中心主義が近世ヨーロッパ(思想)史の描き方を貧しいものへと導いている。
これは16世紀-17世紀の国家主権を語る際に未だボダンーボシュエの線を前提としていることにも表れている。何度か投稿したように、当時における国家主権言説に関しては後期ネーデルランド人文主義、とりわけリプシウスの影響力が圧倒的であり、仏で宗教内乱を収束させたアンリ4世、つまりブルボン朝の創始者もリプシウスに依拠しており、「国家理性」・「政治的遺言」で知られるリシュリューもリプシウスの新ストア主義の延長線上にある。
著者は、近世欧州における人文主義に関する知識を各所で披露しはするが、ネーデルランド人文主義・新ストア主義には一言の言及もない。 [参照]
著者もグロティウスの「自然法」と契約について言及はするのだが、せいぜいカッシーラーを引いてグロティウスの「神」の役割について註で補足する程度。しかも、このカッシーラーのグロティウス理解は、遥か昔に否定されている。
つまり、ここでも著者のフランス中心主義・18世紀中心主義が近世ヨーロッパ(思想)史の描き方を貧しいものへと導いている。
これは16世紀-17世紀の国家主権を語る際に未だボダンーボシュエの線を前提としていることにも表れている。何度か投稿したように、当時における国家主権言説に関しては後期ネーデルランド人文主義、とりわけリプシウスの影響力が圧倒的であり、仏で宗教内乱を収束させたアンリ4世、つまりブルボン朝の創始者もリプシウスに依拠しており、「国家理性」・「政治的遺言」で知られるリシュリューもリプシウスの新ストア主義の延長線上にある。
著者は、近世欧州における人文主義に関する知識を各所で披露しはするが、ネーデルランド人文主義・新ストア主義には一言の言及もない。 [参照]